
こんにちは、りんむです。
この作家さん知ってる?知らなくてもいい世界だけどね…。
あなたは、絵本の中で子どもが次々に死んでいく場面を想像できますか?
しかも、それがユーモラスに描かれているとしたら?
エドワード・ゴーリーの絵本は、そんな“読み聞かせ厳禁”の世界を私たちに突きつけてきます。
エドワード・ゴーリーとは?絵本の常識を覆した男


「絵本=子ども向け」という常識を、エドワード・ゴーリーは見事に裏切った。
彼の描く世界には、やさしさも教訓もない。
あるのは、不条理と死、そして冷たいユーモア。
1925年、アメリカ・シカゴに生まれたゴーリーは、ハーバード大学で学びながら文学と美術に親しみ、後に絵本作家・イラストレーターとして活躍。
彼の作品は、モノクロの繊細な線画と、韻を踏んだ詩のような文章で構成されており、どこかヴィクトリア朝の香りが漂う。
ゴーリーが描くのは、子どもが次々に死んでいく絵本や、意味不明なまま終わる物語。
それなのに、なぜか目が離せない。
彼自身は「人を不安にさせたい」と語っており、絵本という形式を使って、大人の心に静かな恐怖を植えつけることを目的としていた。
その作風は「ブラックユーモア」「ゴシック絵本」「大人向け絵本」と呼ばれ、今なお世界中に熱狂的なファンを持つ。
日本でも、彼の代表作『ギャシュリークラムのちびっ子たち』をはじめ、複数の作品が翻訳されている。
【コレクターにはたまらない仕掛け!】
実は彼、アナグラムで自分の名前を変えて、別名義で絵本を出版していたこともあるんです。
「これ、ゴーリーっぽい!?」と探してみるのも、コレクターにはたまらない楽しみ方のひとつ。
全作品は25冊。
……でも、あまりに恐ろしいので、我が家にはお迎えできません。
エドワードゴーリーのおぞましい絵本【5選】
ギャシュリークラムのちびっ子たち
原題:The Gashlycrumb Tinies(1963)
ゾクッとポイント
A〜Zまでのアルファベットに沿って、26人の子どもが次々に死んでいく。
しかもその死因は「Aはアミーラ、灰に」「Bはバジル、熊に」など、韻を踏んだ短文で淡々と描かれる。
絵本なのに、感情の起伏がない。だからこそ、怖い。
あなたは、子どもが死ぬ場面を“詩的に”描いた絵本を、笑って読めますか?
うろんな客
原題:The Doubtful Guest(1957)
ゾクッとポイント
ある日突然、屋敷に現れた謎の生き物。
誰も正体を知らず、何をするかもわからない。
家族は困惑しながらも、なぜかその存在を受け入れてしまう。
不気味なのに、どこかユーモラス。
そして、最後まで何も解決しない。
あなたの家に、正体不明の“うろんな客”が住みついたら…どうしますか?
不幸な子供
原題:The Hapless Child(1961)
ゾクッとポイント
裕福な家庭に生まれた少女が、両親の死をきっかけに転落していく。
虐待、孤独、死…すべてが淡々と描かれ、救いがない。
でも、どこか美しい。
ゴーリーは、悲劇を“静かに”描くことで、読者の心に深く刺す
絵本に“救い”がないとき、私たちはそれをどう受け止めればいいのでしょう?
おぞましい二人
原題:The Loathsome Couple
ゾクッとポイント
何の感情もない顔をした男女が、ある日ひっそりと結婚する。
その後、彼らは静かに、淡々と、信じがたい行動を繰り返していく。
理由は語られない。動機も描かれない。
ただ、ページの中で「事実」が並べられていく。
読者は、冷たい鉛筆の線の中に、ぞっとするほどの現実を見つける。
そして最後に知る。
——これは、実在の事件をもとにした物語なのだと。
あなたは、“悪意のない悪”に、どう向き合いますか?
優雅に叱責する自転車
原題:The Epiplectic Bicycle
ゾクッとポイント
ある日、通りすがりの自転車が、何もしていない人々を次々と叱責していく。
理由は不明。言葉も意味不明。
けれど、叱られた人々はなぜか納得し、静かにその場を離れていく。
自転車は優雅に、滑るように通り過ぎる。
誰も止めない。誰も問いたださない。
あなたは、理不尽な“叱責”を受けたとき、どう反応しますか?
まとめ:絵本の“やさしさ”を疑ってみる
エドワード・ゴーリーの絵本は、私たちが抱いていた「絵本=やさしい」「絵本=子ども向け」という常識を、静かに、でも確実に壊してくる。
死、不条理、孤独、そして笑っていいのか迷うようなユーモア。
それらが、モノクロの線画と詩的な言葉で淡々と描かれることで、読者の心に深く、冷たく刺さる。
でも、だからこそ、目が離せない。
この絵本たちは、“読む”という行為そのものを問い直してくるのだ。
あなたにとって、絵本とは何ですか?
やさしさだけでは語れない絵本が、ここにあります。
それでも、ページをめくってみたくなりませんか?


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